2013年12月12日
機能に裏打ちされたブーツ
ジョージブーツはとは、足首部の3対の鳩目に靴紐を通して締め上げる外羽根式のアンクル~ショート丈のもので、そもそもは1952年に英国国王ジョージ6世の進言で陸軍将校向けに開発されたものです。
それまで用いられていたロングブーツでは、近代化する陸軍の戦闘様式に対応し切れなくなり始めたための大幅改良だったようで、そのデザインがやがて民間にも伝わってきた訳です。
チャッカブーツに比べ鳩目の位置が高くその数も一対多く、外羽根の切り返しのデザインも縦長ですが、それらは起源の違いからくるもの。より厳密に申せば、ヒールもチャッカブーツより明らかに高くできていますし、アッパーも黒や茶の頑丈なものと相場は決まっています。
実際には、このジョージブーツとチャッカブーツを著名な靴メーカーでも混用している事例がほとんどで、両者を生んだイギリスのメーカーであっても、現状あまり厳密な区別は行われていないようです。
だからでしょうか、同じくイギリスのブランド・ハケットの創設者であるジェレミー・ハケット氏は、自らのブランドのスエードチャッカブーツをこのメーカーに発注する際、「鳩目を3対ではなく2対にする」ことと「甲から前にはライニングを付けない」ことに相当こだわったようです。
起源の違いで求められる「機能」も本来は異なるわけで、その差が結果としてスタイルにはっきり表れることを、彼は一般のユーザーにもしっかり知ってもらいたかったのでしょう。機能に裏打ちされた美を重んじる、イギリス人らしい発想です。
Posted by Efterpi at 18:29│Comments(0)
│niceboots